外国人投資家は円資産へのシフト

世界経済は、本年後半から本格的な減速局面に入り、グローバル・リセッション(世界規模の景気後退)の懸念が高まろう。一方、わが国経済は、震災からの復興特需に沸き、急激な拡大局面を迎えることになる。この組み合わせは、逆説的に、わが国がバブル経済期に経験したような大幅な円安局面を、外国為替市場にもたらす公算が高い。ドル円相場は2012年に向けて100円超を目指す展開が予想される

ドル資産から円資産にシフトする中国人投資家

欧米とは違った動機から日本株買いを進めているのが中国人投資家だ。今が日本企業を買うチャンスという見方は同じだが、「中国は国全体の方向性としてドル資産をこれ以上増やしたくはなく、日本国債やゴールドカード日本昧など円資産を増やす動きが活発化している」と長手氏は分析する。

 

中国系ファンドの日本株保有額は2010年9月末の2.1兆円から2011年3月末で2.8兆円に増加。同期間で保有銘柄数は145から237に増えたという。中国は2011年4月の1ヵ月間だけで日本の中長期国債を1.3兆円買い越すなど、円資産保有に旺盛な意欲を見せている。

 

「中国に限らず、アジアの投資家は日本株買いに対して高い関心を持ち続けている。理由としては、@アジアの成長を享受しやすいのが日本企業であることA依然として日本ブランドに対する高い信頼Bとくに中国では経済成長により富が生み出されており、投資先を探していることーが考えられる。今後もアジア投資家の日本株買い意欲は続くのではないか」

 

国内投資家の間では株式持合の解消やリスクアセットの軽減、ホームカントリーバイアス(自国資産の偏り卜の修正などから、円資産以外への分散投資が高まっているだけに、日本株を買うというより売る動きの方が優勢に見える。しかし海外に目を転じてみれば、それぞれの事情から日本株に注目していることがよくわかる。

 

「夏にすぐ日本株が上がるとは思えないが、海外投資家はどのタイミングでどの銘柄に投資すべきか、日本株の見直しを行っている真っ最中だ。7〜9月期の電力不足の危機を乗り越えれば、海外マネーが日本株市場に流入してくる可能性は高い」と長手氏。

 

「だからこそ日本企業は海外投資家に向けたIR活動を重視しなくてはならない」と締めくくった。