一時的には円高になる理由

世界経済は、本年後半から本格的な減速局面に入り、グローバル・リセッション(世界規模の景気後退)の懸念が高まろう。一方、わが国経済は、震災からの復興特需に沸き、急激な拡大局面を迎えることになる。この組み合わせは、逆説的に、わが国がバブル経済期に経験したような大幅な円安局面を、外国為替市場にもたらす公算が高い。ドル円相場は2012年に向けて100円超を目指す展開が予想される

復興特需でミニ・バブルを迎え、一人勝ちの状況に

そのようななか、日本は大丈夫か。日本経済は世界経済が減速するなか、震災の復興需要によって、ミニ・バブルのような独り勝ち状態になるというのが筆者の見方である。

 

6月下旬に内閣府が発表した東日本大震災による建物、インフラ施設などの推計被害額は16.9兆円に及び、消費財や生産設備などを加えた被害額は25兆円以上になる可能性がある。これは、名目GDPの5%に達する金額である。換言すれば、今後1〜2年間で、復興需要は経済成長率を5%も押し上げることになる。

 

これに対して、2011年第1〜2四半期の成長率を押し下げたサプライ・チェーンの機能不全や自粛による消費の減少効果は2011年後半から解消するものと考えられる。また、電力不足による生産への影響も、操業時間シフトや輪番制、他地域への生産シフトなどによって、吸収可能なものと推察される。

 

復興需要の半分以上が民需と考えられ、政局混乱による政策対応の遅れの悪影響も限定的であろう。さらには、成長のエンジンが復興需要という内需であるため、上述のような世界景気減速の影響も受けない。したがって、2011年後半以降、経済成長率の相当な上振れが予想される。

 

例えば、経済企画協会まとめた43機関による経済予測の集計(6月8日発表)では、2011年第3四半期の実質成長率が前期比年率4.04%、第4四半期が5.24‰2012年第1四半期が3.84%と極めて高い水準となっている。さらに2012年度の実質成長率予測の平均は2.9%である。この結果、2013年第1四半期に、趨勢的な実質成長率(4年前比年率)は2.9%と、1980年代後半の日本のバブル経済期には及ばないものの、2000年代半ばの世界的な不動産バブル期と同等の水準まで急激に上昇すると予想される。またこれはあくまで43機関による予測の平均値であり、筆者は実際の成長率はさらに高まる可能性が高いと考えている。

 

同じく経済企画協会の推計によれば、消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、2011年4〜6月期以降8四半期にわたり、前年比プラスで推移すると予想されている。換言するなら、2011年後半以降、わが国の景況感は1980年代後半のバブル経済期に及ばずとも遠からずの水準まで改善をみせる公算が高いのである。